庭に出て、しばし立ち尽くす――。
いやはや、これが現実というやつですか。
チラチラと差し込む木漏れ日、地面を覆う名も知らぬ緑のじゅうたん、そして物干し竿の脇に立てかけられたシャベル一本。


ここから本当に、ニンニクが育つ畑を作れるのか。
71歳、定年退職して暇はできたが、どうやら「時間がある=何でもできる」ではないらしい。
思えば若いころは、畑など田んぼの外仕事なんて自分にできるわけないと思っていました。けれど今は違う。この庭に立ってみると、不思議とやる気が湧いてきます。
たしかに、目の前のこの庭はちょっとしたジャングル。雑草に覆われて土も見えず、どこから手をつけたものか…と頭を抱えたくなる。
それでも「ここにニンニクの苗を並べてみたい」「収穫のあとに自家製黒ニンニクにしたい、ニンニクの素揚げを晩酌のつまみにしてみたい」そんな想像だけはふくらんで仕方がないのです。
長年この庭は放置状態。すぐ左には物干し台が陣取っていて、どう見ても畑向きの土地には見えません。けれど、木陰の加減や土の湿り気、風通しを見ていると、案外ニンニク向きかもしれない。
――と、知った風な口をきいているが、実のところ家庭菜園は人生初挑戦。
とりあえず今日は、軍手をはめて庭の観察。しゃがんで草の種類を見たり、蚊に刺されながらも奥の土の様子を見たり。
「まずはモノをどかすところからだな」と決意を固めました。いつ植えたかも覚えていない植物や、
柿の木の枝が伸びすぎて、日差しを遮っているのは人間には良いかもしれませんが、畑には悪影響。日当たりの確保は最重要です。まずは、草刈り草むしり。腰を曲げて強く根のはった草をむしる重労働が自分にできるのか。いっぺんには無理でも、何日かに分けてでもやり切るつもりです。一つひとつは小さな作業ですが、「畑」へと変わっていくには確実な一歩です。
それにしても――
71になって、まさかシャベルを担いで「これから畑を作るぞ」と目を輝かせるとは、自分でも思いませんでした。
昔はやれビールだ晩酌だと口にしていたのに、今では「黒ニンニクって健康にいいらしいぞ」などと真顔で言っている。
人生、どこでスイッチが入るかわからないものです。
次会は綺麗になった後の庭をお見せできたらと思います。それと、本を買って勉強してみようかと思っています。インターネットで情報の手に入る時代ですが、こういったものはやはり本を読んで勉強するのが一番です。近場の書店にあれば良いのですが。
それではみなさん、良い1日を!
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