骨の髄まで愛したい。佐倉市のSPICECLUBで、究極の「マトンニハリ」に震えた話。​

旅行・グルメ

「マトンニハリを食べたことはある?あれが一番美味しいよ」​佐倉市にあるインド・パキスタン料理店SPICECLUBで友達とビュッフェを食べていた時のこと。隣の席に座っていた外国人から、急に話しかけられ、驚きました。友達と2人でメニューを探し、これですか?と聞いたら、それだと答える外国人。

​その日から(いつか必ずマトンニハリを食べに来る)と誓いを立て、​そして先日ついに念願の「マトンニハリ」とご対面。​運ばれてきたのは、巨大な骨付きマトンのスネ肉がドーンと入った、芳醇なスパイスの香りを放つ一皿。​思わず息をのむ迫力でした。

最初にナイフとフォークで骨から肉をほぐしましたが…この骨付き肉、ホロホロとバターのように柔らかく崩れます。早く食べたい気持ちを抑え、肉をほぐす。途中、カレーがこぼれそうになっていたのでカレーを先に一口、二口。スパイスの芳醇な香りが広がりつつも、軽やかな味わい。時折パクチーと生姜の爽やかな風味が口に走り、バスマティライスはこれでもかというほど盛られていて、これ一皿で満腹にしてやろうという気概すら感じます。そうこうしているうちに、マトンを骨と肉に分けることができました。ウェイターさんが骨を置くためのお皿を持ってきてくれていたから、最初にほぐすのは合っているはず…。待望のマトン、これが、本当に凄かったです。

口に運べば、とろけるような滑らかさ。マトン特有の臭みはほとんど感じられず、かすかに残るワイルドな風味は、むしろ食欲を刺激する絶妙なアクセントです。​まさに満腹、大満足。​途中でレモンをキュッと絞ると、酸味が加わってさらに爽やかに味が変化します。一口ごとに新しい発見があり、最後のひと匙まで夢中で味わい尽くせます。​これは、ただのカレーではなく、インド・パキスタン料理の奥深さと、作り手の情熱が凝縮された「究極」と呼ぶにふさわしい一皿です。

​「ニハリ」ってどんな料理?

ムガル帝国から続く歴史のロマン​そもそも「ニハリ」とは、アラビア語で「朝」を意味する「ナハール」が語源。今から300年以上前、ムガル帝国時代に、ナワブ(貴族)が朝の礼拝後に食べるための高級料理として考案されたのが始まりだと言われています。​夜通しじっくりと煮込まれた肉は、朝にはとろけるような柔らかさになり、心身に活力を与える最高の朝食として重宝されました。やがてこの料理は、働く労働者たちの「エネルギー食」としても広まっていったのです。​パキスタンが独立すると、北インドからの移民によってレシピがカラチへと持ち込まれ、国民的な料理へと進化を遂げました。特にパキスタンでは、朝食だけでなく一日中食べられる「オールデイ料理」として愛されています。

​​遠い異国の地で、かつて王族や労働者たちが味わったであろう、深い味わい。その伝統が、遥か海を越え、ここ日本の佐倉市で、私を感動させてくれました。​この文章を読んでマトンニハリに少しでも興味を持ったなら、ぜひSPICECLUBへ足を運んでみてほしいです。

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